食事のあげ方
食事が基本
仔犬が自宅にきて、注意すべきことや管理すべき内容は様々ありますが、やはり、基本は食事になります。ここが一番重要であることには、変わりありません。
まずは、仔犬の食事について、簡単にQ&A方式で解説していきます。
あげるのは、ドライフードだけでいいの?
メインは、ドライフードになります。引き渡しの時に詳しい説明があります。最初は、指示通りにあげてみましょう。
最近のドライフードは、総合栄養食になっているので、それだけで必要な栄養素は摂取できます。
生涯を通じて、一番栄養が必要な成長期です。
粉ミルクを食後にあげると良いでしょう。栄養の補てん的な意味もありますし、しつけ面でのごほうびの位置付けにもなります。
缶詰などは、必要に応じてトッピングします。
基本的な食事内容
ドライフード | 引き渡し時に受けた説明の量を、1週間を目安にあげ、食べきるようになったら、徐々に増やします。 下痢をしなければいくらでもあげて良いです。 |
粉ミルク | 基本は、6か月齢ぐらいまではあげます。成犬になったらお水で良いですが、続けても問題ないです。 付属のスプーン1杯を目安にし、量は増やさないであげます。 |
缶詰やその他のトッピング | 基本は、トッピングしません。食べムラが出る1週間を目安に、混ぜても良いですが、食欲が安定してきたら、徐々に減らしていきます。 トッピングするときは、まんべんなく混ぜるようにします。 |
生後2か月から3か月齢の仔犬は、食べつきによっては、ドライフードをふやかしてあげます。
ふやかしの有無についても、引き渡しの際に説明を受けると思いますので、指示に従ってください。
ふやかしフードについての補足
‘ふやかす‘といっても最初の2週間程度になり、徐々にドライフードに替えていきます。
ふやかしフードは、消化しやすく、水分も一緒に摂取できます。但し、一粒一粒が膨張していますので、ドライフードに比べると、お腹に入る総粒数は少なくなります。
自宅に来てすぐは、食べつきにムラがあり、缶詰などのトッピングをしたり、フードをふやかしたりするケースもあります。理想は、ドライフードのみになりますので、徐々に替えていくのが良いでしょう。
何時に、何回あげる?
一日2回から3回食になります。時間は決めないほうが良いでしょう。
具体的なあげ方は、下の注意点で詳しく解説します。
『朝の食事と夜の食事の間が、8時間以上空いていれば、何時でも構いません。3回食の場合は、ちょうど間ぐらいであげて下さい。お昼寝していることが多い時間帯ですので、前後して構いません。』
成長スピードや食べムラによって、3回食にしますが、3か月齢になるまでには、2回食にしていきましょう。どうしてもお腹が減ってしまう場合は、ドライフード数粒をおやつ代わりにあげると良いでしょう。
どこであげる?
サークルの中であげます。
サークルの中が大好きになりますので、成犬になってからの「ハウス」のコマンドも入りやすくなります。
どの位の量をあげるの?
完食できる量なら、 いくらでも食べて大丈夫です。
パッケージの裏などに書いてある体重に対する標準量は、あくまで目安になります。基本的に、仔犬は5か月齢ぐらいまでは下痢をしなければ、いくらでも食べて大丈夫です。
但し、完食できる量が良いでしょう。食べ残し癖は要注意です。
常に、おなかが膨らんだ状態は、内臓の発達を助けます。
*大型犬などは、骨格構成の成長段階において、摂取量を調整する場合があります。
お水は?
食後に、粉ミルクをあげていれば、最低限の水分は確保できます。
粉ミルクは、付属のスプーン一杯を、水または、ぬるま湯で溶かしてあげます。粉末状のダマが残っていると、消化不良の原因になりますのでしっかりと溶かしましょう。
完食後にお皿をぺろぺろ舐めていたり、食事以外の時間で、仔犬が暑そうにしていたら、必要に応じて、食器で水をあげましょう。
フードディッシュなどで、24時間いつでも水分摂取できるのも良いですが、仔犬のうちは、飲みすぎてしまうこともありますし、しつけ面でも、お水も飼い主からもらえるものだと認識させましょう。
お水の種類について
カルシウムやマグネシウムといったミネラルを多く含んだお水を飲ませ続けるとと、尿結石などの病気のリスクがあがる可能性があります。
必ず、病気になるというわけではありませんが、余分なミネラルをわざわざ与える必要はありません。
水道水が無難でしょうが、気になる方は浄水も検討して良いでしょう。
先住犬がいた場合は?
先住犬を先にあげます。その後、仔犬にあげます。
【多頭飼いの場合】
常に、先住犬が先になります。ほぼ同時であっても構いませんが、このルールは崩さずにあげましょう。フードの種類は、ゆくゆくは先住犬と同じく銘柄に変えても構いません。
具体的な食事のあげ方の注意点
食事の時間も、しつけは出来ますので、【仔犬が来たら】で紹介したアイコンタクトを交えながら、解説していきます。
まずは、毎食完食出来るようにすることが大切になります。
完食の習慣をつけるためのあげ方を解説します。また、しつけ面からみたあげ方のポイントも解説します。
コマンドは、日本語と( )内に英語の場合も載せています。
食事の流れを解説していきます。
Step 1
サークルの中であげます。仔犬を座らせて、目の前に食器を置きます。仔犬の首の下や胸のあたりを軽く抑えて、「お座り」をさせましょう。
まず、飼い主と仔犬の目線の間に持ち、やや高い位置から食器を仔犬に見せると、仔犬を自然と顔をあげてお座りしやすくなります。その後、仔犬を押さえながら、食器をサークルの中に置きましょう。
出来たら、”お座り(shit)“と一度だけ 言ってください。
Step 2
仔犬の目線は、目の前に置かれた食器に向かっていると思いますので、仔犬の顎をあげて、目を合わせてからあげましょう。最初は、無理やりアイコンタクトをする感じで良いです。目が合った瞬間に、”よし” と言って、手を放しましょう。但し、食器は持ったままです。食べている間は、食器を手で押さえておきましょう。
食事をしている時は、犬の本能がいちばん出るときです。常にそばにいて、ひとりで食べさせないようするのがポイントです。
取られてしまうといった独占欲を抑え、人に慣れさせる目的もあります。独りで食べさせていると食事の時に人が近づくと噛んでくるようになってしまう可能性があります。
Step 3
食器を抑えている手のひらに数粒のドライフードを隠し持っていて、完食したら、食器の中にばらまいてください。仔犬には、手からフードが増えたと思わせます。
ハンドシャイ(人の手に対する恐怖心)の予防にも繋がります。
5分から10分位で時間を決めて、残っていても食器を下げましょう。食べきるまで置いておくと、いつでも食べられると思って、残すようになります。
集中力もそこまで持ちません。急いで食べないと、下げられてしまうと思わせましょう。
Step 4
その後、粉ミルクを上げます。別の容器に事前に、お湯で溶いたものを用意しておくとよいでしょう。粉ミルクには、栄養の補てん以外にも、完食の後のご褒美の要素も含まれています。
完食しない場合は…
一度、量を減らしてあげてみてください。半分ぐらいに減らしても良いです。
その後、食べきる量から、少しずつ増やしましょう。
どうしても食べ付きが悪い場合は、缶詰などのトッピングで対応してください。
食べなくて不安な場合は、食器下げてしばらくしてから、ドライフード数粒をサークル内にばらまいておいても良いでしょう。
その場合、粒の数を数えておくと、何粒減ったかわかるので、食事の管理がしやすくなります。
しつけ面からみたあげ方のポイント
ハンドシグナルの使い方
「コマンド」を言葉で教えると同時にハンドシグナルも一緒に教えておきましょう。 ハンドシグナルは、予め、家族で決めておいて統一しましょう。
具体例を紹介します。
- 「お座り」(shit) → 人差し指1本立てて見せる
- 「待て」 (stay) → 手のひらを見せる
- 「伏せ」(down) → 手のひらを地面に水平にして少し下げる
「お座り」(shit)「伏せ」(down) の教え方
先程紹介した食事の流れの中で、 仔犬と飼い主の目線の間で 食器をやや高い位置で保持します。
仔犬の目線を上げさせて、アイコンタクトをするのが目的です。
その時、食器を持っていない手の人差し指を一本立てて、仔犬に見せます。
お座りが出来たら、”お座り(shit)“と一度だけ言ってください。
押さえてないと動いてしまう場合、指(ハンドシグナル)を見せながら、”お座り(shit)” と言うだけで構いません。
アイコンタクトは忘れずに注意しましょう。
「待て」(stay) の教え方
「お座り」が出来た状態から、「待て」を教えていきます。
仔犬が ”よし“ の合図を理解してくると、抑えていた仔犬が力を抜く瞬間が出てきます。
そのタイミングで、 ”よし“ のコマンドを言いましょう。
その後は、徐々に抑えていた手の力を抜いていき、最終的には、手を放していくと良いでしょう。
この頃、「お座り」をさせた状態で 「待て」(stay) のコマンドも追加すると、もう一つのコマンド練習もできます。
「待て」(stay)は、数秒から始めましょう。最後は、アイコンタクト「みて」を忘れずにしましょう。
ハンドシグナルを教えておくと、言葉を使わなくても指示が出せるので、とても便利です。
食事の時の集中力を利用すると、仔犬にコマンドを教えやすいです。
まとめ
慣れるまでは、ご家族のお一人が担当されるのが良いでしょう。後々、家族全員が同じようにできるのが理想です。
満腹で膨れたおなかが仔犬を十分に成長させます。下痢しなければ、いくらでも食べさせて構いません。フードパッケージ裏の目安量はあまり気にせずに、たくさんあげましょう。
ポイントのおさらい
- 食事あげる時間帯は決めない
- 完食できる量をあげる
- 残したら下げる
- 時間が来たら下げる
- 食後にミルクをあげる
- 目安量は気にしなく良い
- 食器は持ったまま
- 「待て」「お座り」のコマンドは、この食事の時に教える
次は、【お手入れ】を解説していきます。