仔犬が自宅に来たら…
仔犬について知ろう
仔犬が自宅に来て、やるべきことを詳しく説明する前に、まず仔犬のことを知ろう。
仔犬(2か月齢から3か月齢位)
- 睡眠時間 一日 15時間近く寝ています。
- 人間の睡眠とは違い、浅い眠りも含まれています。
- 食事は、2回~3回になります。
- 食べて、寝て、起きて遊んで、排泄をして、また寝ることの繰り返しになります。
- 仔犬の成長は、とても速いです。
- 生後半年ぐらいまでに人間でいう9歳前後(小学校3~4年生)になります。
- 生後4か月前後までに混合ワクチンを終えます。
- ワクチンが終わると外に連れ出せたり、シャンプーが出来たりします。
- 仔犬は自分が置かれている立場をより良くするために、全力を尽くします。
- 家族の対応の違いや日によっての違いなどは、受け入れられません。
パピートレーニングについて
仔犬のしつけは、仔犬が自宅に来たその日から始まります。
しつけに終わりの時期はありませんが、お散歩やシャンプー・カットなどに連れていける4か月齢(混合ワクチンが終了する時期)ぐらいを初期のしつけ(パピートレーニング)と位置づけ、この時期に必要な仔犬との接し方を解説していきます。
だれが管理する?
家族全員でやります。
どこでやる?
自宅リビングでやります。
どうやって?
サークルで管理しながらやります。
いつまで?
期間は、ワクチンが終わる4か月齢ぐらいまでを目安とします。
*分かりやすく解説するために、本サイトで設定した期間になります。一般的に、仔犬は、10か月齢から12か月齢ぐらいまでに成犬として成長していきます。
自宅リビングでやる理由
しつけ や トレーニングなど言葉だけ聞くと、とても重要で、失敗にできないように感じられると思いますが、全てをご家族が集まる時間が長いリビングで、楽しくやります。
【準備すること】のページで解説したサークルで管理していきます。事前に決めた位置にサークルを置きましょう。
サークルで管理するメリット
- 自分の居場所が出来て、仔犬が慣れやすい
- トイレトレーニングがやりやすい
- 運動過多の防止
- 危険なものから守る
- 逃亡防止
- 室温管理がしやすい
- 飼い主の生活リズムは変えなくてよい
- 家族全員が把握できる
- 生活音に慣れやすい
- 飼い主を気にするようになる
- 掃除が楽(仔犬の手入れのみ)
- わざわざ観察しなくてよい
- 「ハウス」のコマンドがすぐ入る
- 留守番の練習にもなる
デメリット
- 仔犬は汚れやすくなる
- 慣れるまで、要求吠えする可能性が高い
- ある程度のスペースを確保する必要がある
メリットは、これ以外にもたくさんあります。
大切な約束事
・家族のやり方や指示(コマンド)を統一する。
統一することで、飼い主側の管理意識が高まります。仔犬の「コマンド」へ理解のスピードを速め、結果、飼い主との主従関係を確立できるようになります。
期間限定のつもりで 、楽しんでやることも重要になります。
あまり神経質にならず、”この時期だけ、全員で気を付けてみよう”程度の心持ちで良いです。
*ちなみに、犬と人は、一緒に寝てはいけません。
実際には、多くの飼い主がベッドで寝ています。しかし、目に見えない感染症やしつけ面においても推奨はできません。
少なくとも、仔犬の時期は避けるのが良いでしょう。
コマンドの補足事項
「コマンド」は、統一してください。「座れ」なのか「お座り」なのかのように、言葉のイントネーションや語気の強さまで、決めておく必要があります。
コマンドを英語すると、イントネーションや微妙な言い方の違いがなくなり、統一しやすくなります。
例えば、
「座れ」 「お座り」 → 「shit」
「待て」 「待ちなさい」 → 「stay」
「来い」 「来て」 → 「come」
ちなみに、「コマンド」を英語にしても、「よし」は 日本語で “よし” が一番言いやすく、統一しやすいでしょう。
筆者は、基本を英語にして、「コマンド」の種類によっては、日本語 というように使い分けるのをおすすめします。
アイコンタクト
全てのしつけの基本中の基本にあるのが、アイコンタクトになります。
飼い主と仔犬との間のコミュニケーションのベースになります。
アイコンタクトは、単に目が合うことではなく、仔犬が目で飼い主を追うようになることが重要になります。
仔犬は、アイコンタクトにおいて、「コマンド(飼い主からの指示)」を見聞きして、その指示通りに行動します。
自宅でしっかりと、アイコンタクトをしておけば、外出先や他の犬と出会ったときなど、様々なシチュエーションで役に立ちます。
まずは、目を合わせた時に、「みて」と言いましょう。誰が、指示を出しているのかを明確に伝えることが重要です。
利き手の人差し指で、ご自身の鼻を指差しながら、「みて」と言うと、同時にハンドシグナルも教えられます。
ハンドシグナルも一緒に教えておくと、声を出さずに、手や指を使うだけで、コマンドを伝えることが出来るようになります。
【食事のあげ方】のページでも、ハンドシグナルを幾つか紹介しています。
アイコンタクトができるようになれば、パピートレーニングの基礎がほぼ完成したといっても過言ではありません。
アイコンタクトをパピートレーニングの中に、意識して盛り込むことで、犬との主従関係をうまく作っていけます。
このアイコンタクトを使って仔犬とコミュニケーションをとりながら、自宅のリビングでやる パピートレーニング を解説していきます。
- トイレトレーニング
- むだ吠え対処法
- 抱っこトレーニング
トイレトレーニングのやり方
トイレトレーニングは『怒らず、褒める』がポイントになります。順を追って解説していきます。
まずは、トイレをセッティングしましょう。
サークル内の図解
まずは、サークル内の全面にペットシーツを敷きつめて、ベッドだけを入れます。ベッドは、丸洗いが出来て、ちょうどサークルの半面ぐらいの大きさが良いでしょう。寝床から起きて、寝床を汚さないように、外で排泄をする習慣を利用して、ベッドの外でおしっこをさせます。
出来るようになってきたら、ペットシーツをサークルの半分のサイズにします。シーツではなく、トイレトレーを使っても良いです。 仔犬は、足裏の感覚でもシーツを認識します。
いたずら防止対策の網目の入ったトイレトレーは、仔犬の足裏の判断を難しくしてしまうので、おすすめしません。
トイレトレーニングの流れ
『飼い主の目の前で、おしっこをしたら、褒めてもらえて、遊んでもらえてと良いことが起こると覚えさせます。いわば、刷り込みになります。』
解説
①出来るだけ、サークル内でのトイレ(おしっこ)を目撃してあげよう。
②目撃してたら、すぐ褒めて、サークルの外に出して、10分ほど遊ばせよう。
* おしっこをしている時に、最初に決めておいた合言葉を小声で繰り返してあげよう。
③遊んだら、サークルに戻す。
④また、おしっこをしたら、外に出して遊ばせよう。
⑤この繰り返しになります。
⑥外の時間を延ばしながら、サークルの扉を開けたままの状態にしておこう。
⑦外で遊んでいるときに、戻っておしっこしたら、たくさん褒めてあげよう。
⑧そのまま、時間も延長してあげよう。
初期は、おしっこのみを外に出して下さい。うんちは褒めるだけ良いです。(ウンチして出すと、外でおしっこを失敗するケースが増えます。
注意点
*外で遊んでいるときのおしっこ失敗は、飼い主の観察不足と捉え、怒らないようにして下さい。
*遊ぶ時間は、10分間からスタートさせて、失敗しない限り、少しずつ時間を延ばしています。あまり、長く遊ばせると、食事をとる体力まで使ってしまいますので、注意して下さい。
トイレトレーニングの注意事項
- うんちは、ほめるだけ 失敗しても気にしなくて良い
- おしっこが成功していれば、後で修正が可能
- 10分間はあくまで初期の目安で、徐々に時間は増やしていく
- 重要なのは、外で失敗させないこと
- 見てないときやベッドでした場合は、ノーカウント
- サークル内であっても、褒めないし、怒りもしない
- おしっこしているときの合言葉は、覚えやすい言葉にする
うまくいくとこんな楽になります。
『目の前でおしっこをする習慣がつくと留守番のとき、極力我慢するようになります。飼い主がいない間に、うんちやおしっこで汚れることが少なくなります。』
更に、飼い主がしてほしい時に、合言葉で指示をして、おしっこが出来るようになります。この習慣は、とても重宝します。
例えば、ペット同伴の宿泊施設先でも、シーツを敷いて合言葉を言えば、そこでしてくれるようになります。これで、無理に我慢させる必要がなくなります。管理面でも、かなり楽になります。
最終的なリビングのレイアウト
トイレトレーニングが終われば、サークルを取り除くことができます。最初にサークルを設置した位置を、 寝床 か トイレ のどちらかにすると良いでしょう。徐々に動かすことは可能です。不安な場合、ゲートなどでリビング内の行動範囲を制限できます。
寝床にするパターン
トイレにするパターン
無駄吠え(要求吠え)対処法
パピートレーニングの中で、重要なしつけの一つになります。この対応いかんで、留守番のできる成犬に育つか否かも変わってきます。
どの飼い主も、この要求吠えへの対応は、必ず経験します。犬には、群れの中でいかに自分が良いポジションや環境を確立するかをチャレンジする習性があります。仔犬も、自分だけサークルにいる状況を打開しようとします。
結果、吠えて要求することになります。
対処方法は、至ってシンプルで、無視するのが一番です。「無視 」と 「褒める」の2つで対応します。
具体的には、以下の通りです。
鳴いているときは、無視 をして、鳴き止んだら声をかけて、軽く褒めます。この繰り返しになります。
褒めるために声を掛けると、より鳴くようになら、無視 だけでも大丈夫です。
鳴き止んだ後、トイレをすれば、サークルの外に出せますし、寝てしまえば、対応としては、正解になります。
声を掛けるタイミングは、鳴き止んでから、1~2分経ってからにしましょう。直ぐ褒めると、仔犬は「 鳴き止む=褒めてもらえる」 と理解できません。
家族全員で無視をして、鳴き止んだら、小声でカウントするなどして、ゲーム感覚で楽しみましょう。
*鳴いているから、抱っこをするなどは絶対にやってはいけません。
自宅に来て一週間ほどは夜鳴きをする可能性もあります。ひどい場合はご近所に迷惑にならないように、小さい音量で音楽を流したりして、仔犬の気を紛らわしましょう。
最初の1~2週間がとても重要です。心を鬼にして、無視を徹底しましょう。
抱っこトレーニング
トレーニングというより、コミュニケーションや遊びに近いものになります。
おしっこを目撃し損ねると、外で遊ぶ回数が減ってしまいます。そんなときは、抱っこトレーニングをしましょう。
ルールは簡単です。サークル内で仔犬が鳴いていないときは、いつでも抱っこをしてOKです。
但し、約束事がいくつかあります。
- 戻すのは、サークルに必ず戻し、絶対に下に降ろさない
- 腹ばいにして抱っこをして、膝の上で自由に歩かせないようにする
- 鳴いたり、暴れていたりするときは、戻さない
- 直前のおしっこから時間が経っているときは、避ける
- おしっこを失敗されなければ、いつまでも抱っこしていても大丈夫
- 手足や耳などいろいろ触ってみる
TVを見ている時などに抱っこをすると、トレーニングになるし、スキンシップにもなります。リラックスすると、仔犬の足は下に垂れてきます。しまいには、寝てしまうこともあるます。
食事について
食べていなければ、成長できません。
満腹で膨れたお腹が仔犬を十分に成長させます。 体調が安定していれば、集中力もでて、しつけ面においても安定してきます。食事が一番重要です。
詳しくは、【食事のあげ方】のページで解説しますので、ここでは簡単に説明します。
- サークルの中であげます
- 食事と食事の間が8時間以上空いていれば、 時間帯は決めなくて良いです
- ドライフードがメインになります
- 下痢しなければ、いくらでも食べさせてOKです
お手入れ方法
サークルで管理している以上、仔犬は汚れやすくなります。ワクチンが終わるまで、シャンプーは出来ませんので、仔犬をお手入れすることで対応します。
【お手入れ】のページで詳しく解説していきます。
まとめ
しつけは生涯続きますが、まずはこの期間にしつけのベース(パピートレーニング)を入れておきましょう。
“お父さんが早く帰ってくるようになった”とか、”家族の会話が増えた”など、”仔犬を迎え入れたことによって、家族の関係にも良い変化が出ました”などのご報告をしばしば受けます。
難しく考えずに、ぜひ家族で楽しんでやってみて下さい。
紹介した以外にも、甘噛みの対処法や正しい遊び方などは、いずれ、解説していきます。
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一般的には、混合ワクチンが終わるタイミング(3か月齢から4か月齢の間)で獣医さんからシャンプーOKとお散歩OKが出ます。
ご自宅でのトレイトレーニングの成果も出始めるころですし、徐々に外に連れ出してみましょう。
社会性を身に着ける上で、重要に時期になります。
詳しくは、【お手入れ】【散歩デビュー】ページにて解説しています。
次は、【食事のあげ方】を解説していきます。