散歩デビュー
散歩の目的
今までご自宅のリビングで、やってきた全てのしつけ(パピートレーニング)の集大成のようなものになります。
健康な体を作るために、遊びではなく、運動として、しっかり出来るようになりましょう。
遊びと散歩は分ける
良い散歩の仕方は、たくさんのルールのもとに成り立っています。つまり、仔犬は、常に飼い主にコントロールされています。散歩は、日々の運動やリフレシュとしての位置づけであることを教えましょう。
ドッグランや広い公園の中では、 散歩 ではなく、 遊び というように、切り替えをすると 散歩 のときの集中力も高まります。
ON と OFF を上手に使い分けましょう。
事前に練習しておこう
自宅で出来る練習
リビングで、仔犬との遊び時間に、引綱(リード) や首輪(カラー)に慣らしておくと良いでしょう。
自宅のリビング出来ないことは、外では出来ません。
首輪(カラー)は軽いタイプで良いので、着ける練習をしておきましょう。
あくまで練習用なので、軽い 猫の首輪 でも代用できます。鈴などは誤飲につながるので、必ず外してください。
最初は、嫌がったり、動けなくなってしまう仔犬もいますが、すぐに慣れます。
食事中やサークルの外で遊んでいるときなど、他に集中している時に着けると慣れやすいでしょう。
首輪(カラー)に慣れてきたら、リビングで、引綱(リード)も着けてみましょう。
歩く練習をするというより、リードを着けているときは、飼い主の周りで行動範囲が限定されることを教えましょう。
慣れてきたら、左手にリードを持ち、右手の指先にドッグフード1粒を持ち、アイコンタクトをしながら、「お座り」をさせたり、「伏せ」をさせたりしてみましょう。
2つほど練習方法をご紹介します。
まず、仔犬は飼い主の左側にいる状態を作ります。
①『左手にリードを持ち、右手の指先に持ったフードを左側にいる仔犬の鼻先に持ってきます。フードを齧らせながらで良いので、飼い主の横を歩かせてみましょう。この時、飼い主は、やや屈んだ姿勢になります。』
②『もう一つは、リードは、飼い主の腰に括りつけておきます。今度は、左手の指先でフードを持ち、左側の仔犬に齧らせながら、横を歩かせます。リードは、ベルトを通すベルトループなどを利用して固定すると良いでしょう。』
時に、立ち止まったり、「お座り」をさせたりと、飼い主の横にいることが当然であると教えましょう。
散歩グッズを揃える
- 引綱(リード)と 首輪(カラー) を買う
- うんちバッグ ウンチを入れる袋
- お水入れ おしっこの後を流す用のお水の入れ物
- お水入れ 飲むためのお水の入れ物(おしっこ用と兼用出来ます)
- お皿 お水を飲むときの携帯用のお皿
- トリーツ入れ 正しい位置を教えたりするためのトリーツ用の入れ物
上記のセットを入れる専用のバッグを用意すると便利です。
リードとカラーについて詳しく見ていきましょう。
リードとカラーの種類について
まずは、首輪(カラー)は、下記のタイプがあります。
- 首輪(ベルト式・バックルタイプ)
- チョークチェーン
- ハーフチョーク(半チョークまたは、ハーフチェーン)
- ハーネス(胴輪)
どれが良いの?
それぞれの説明と、良所と短所をまとめました。
①は、自宅で練習用に使用していた簡単なモノ(猫用でも可)で、お散歩には、不向きです。
②は、プラスチック製バックルタイプのカラーになります。耐久性を考えると、比較的小型犬用になります。
③は、ベルト式のカラーで、大型犬にも対応できる耐久性があります。
①は、チョークチェーンタイプのカラーになります。飼い主の指示が伝わりやすく、大型犬などに使われています。
②は、ハーフチェーンタイプ(半チョークチェーン)で、首への負担も考慮しつつ、指示も伝わりやすいカラーになります。
ハーネスは、首ではなく、胴体に着けるタイプで、一般的には、胴輪と呼ばれています。
指示が伝わりにくいですが、首の負担や気道の確保に優れています。
引綱(リード)は、2タイプあります。
引綱は、大きく分けて2タイプあり、①は、長さの決まった昔からあるリードになります。
②は、伸縮性のあるリードになり、公園や広いスペースで使いと良いでしょう。
一覧表
リードのタイプ | 長所 | 短所 |
ベルト式首輪 | ・様々な商品があり、サイズ調整も楽 ・指示がある程度伝わる | ・指示が確実には伝わらない ・バックルの金具部分がやや重いタイプがある |
チョークチェーン | ・引綱の指示が確実に伝わる ・金属タイプは、安価 | ・金属で出来ているものは、被毛が絡んだり、切れたりする ・首や気道に負担が掛かる |
半チョークチェーン | ・指示が伝わりやすい ・首に触れている部分が金属でないため、被毛が切れにくい | ・サイズ選びが難しい ・金属以外の部分が壊れやすい |
ハーネス(胴輪) | ・バライエティに富んでいて、多種多様な商品がある ・首や気道に負担が掛からない | ・指示が伝わらない ・外れる危険性がある |
まとめ
飼い主の指示(リードコントロール)が最も伝わりやすいのは、チョークチェーン タイプのものになります。大型犬などの引っ張り癖防止には、役に立ちます。
ハーフチョークチェーンタイプは、指示も伝わりやすく、首への負担も多少軽減されているので、小型犬にも対抗しています。
一方、ハーネス式は、首への負担がないのが最大のメリットですが、指示が伝わりにくく、意外と抜けやすいものあるので、お散歩のしつけの終わった成犬や老犬に適しています。
おすすめ
2つぐらいのタイプを使い分けるのも良いでしょう。
筆者のおすすめは、ハーフチョーク式とベルト式の両方を持っておくのが、ベストだと考えます。ちなみに、伸びるリードは、安全上としつけ面からみて、おすすめしません。
現在は、各タイプで様々な商品が開発されていて、上記に示した短所を最小限にしているものもあります。ショップの店員さんと相談しながら、決めましょう。
実際に外に出よう
リードコントロールについて
正しい散歩
リードは、左に持ちます。仔犬は、常に飼い主の膝と自分の距離感を図りながら、歩くのが理想です。この時、リードは、張っていず、少し垂れ下がっています。
仔犬は、飼い主とアイコンタクトが出来るように、常に顔を上げています。飼い主が止まれば、立ち止まり、顔を見上げ、支持を待ち、歩き出せば、また歩くことの繰り返しが理想です。
悪い散歩の例
悪い例は、犬が常に飼い主より前を歩き、地面を嗅ぎながら、飼い主の顔を見ないで、行きたい方向に歩いてきます。
アイコンタクトせずに、コマンドの指示待ちもしないことになります。
何かのきっかけで、吠えると鳴きやみません。
さらに、こんな心配事も
犬の病気には、おしっこから感染する病気(レプトスピラ感染症)もあります。
また、この病気は、感染しているにも関わらず、目で見てわかるような症状が出ません。さらに、人間にも感染する可能性があります。
まずは、ルールを決めよう
- なるべくおしっこを済ませてから、行こう
- 立ち止まったときは、アイコンタクトをして、飼い主の支持を伝えよう
- 毎日行かない散歩のやり方を教えよう
- 地面や柱などを嗅がせないようにしよう
正しい形を学びましょう
何事も最初が肝心です。初期の段階で、一度、トレーナーに相談してみましょう。
出張で来てくれるトレーナーに正しい散歩のやり方を教わるのも良いでしょう。散歩デビューの時にチェックしてもらい、その仔の正しいやり方を家族で教えてもらいましょう。その後は、うまくいかなくなったときなど、時折、修正してもらいましょう。
ノミやマダニの予防について知ろう
散歩中に、ノミやダニが体についてしまうと、虫がお腹の中に寄生したり、感染症に掛かったりする可能性があります。ノミやダニの季節は注意が必要です。
動物病院で処方される駆除・予防剤で対応できます。肩甲骨の間に滴下するタイプやおやつ感覚で与えられるチュアブル錠タイプがあります。
特にダニからの感染症は、人にも感染する可能性があり、より注意が必要です。(人にもうつる病気は、人畜共通感染症と呼ばれています。)
動物用医薬品になりますので、アレルギー反応が出たり、体調を崩したりするケースもありますので、獣医と相談して、最低限のケアをしておきましょう。
ノミやダニの居そうな場所は、出来るだけ避けるのが、良いでしょう。
その為にも、飼い主が正しい知識と良い散歩のやり方を実行して、仔犬をコントロールすることが、犬の健康を守ることになります。
飼い主のマナー
飼い主のマナーによって、愛犬の印象も変わります。飼い主もルールを守って、良い散歩をしましょう。
- おしっこやうんちの処理
- うんちバックを常備し、必ず持ち帰りましょう
- どうしてもおしっこをしてしまった場合は、お水で流しましょう
- リードは必ずつけましょう
- ドッグランなど特別な場所以外で、引綱(リード)を外すのは、法律違反です
- 人や犬とすれ違いときは、リードを短く持つか、立ち止まって待ちましょう
飼い主がおしっこをお水で流す姿は、良く見かけますが、特に公園や広場などでウンチをそのままにして帰る飼い主は、未だにいるように感じます。
犬が、社会に溶け込むという意味では、ヨーロッパや欧米に比べると、日本はまだまだ後れを取っているように感じます。
周りには、犬が苦手な人も必ず存在します。一人ひとりの行動が、全体の印象を作り上げていることを忘れずに、正しい散歩のやり方と飼い主のマナーを意識していきましょう。
まとめ
仔犬も飼い主も正しいやり方で、楽しんで散歩しましょう。
冒頭にお伝えした通り、散歩と遊びを分けて、メリハリをつけましょう。
散歩は、今まで自宅でやってきたパピートレーニングの成果が出る場所でもあります。
うまくできなくなると、自宅でのしつけも必ず乱れてきます。仔犬との主従関係を確認する場にすると良いでしょう。
気軽に、相談できるトレーナーもいますので、仔犬がコマンドやルールを聞かなくなったりしたら、早めにプロに相談してみましょう。
常に、お手本になるように、心掛けましょう。
正しい散歩で、飼い主からたくさん褒められ、時に周りからも褒められることが、仔犬にとっては最高のご褒美になります。
最後は、【動物病院】の探し方を詳しく解説します。